第23回日本再生医療学会総会でポスター発表いたします

2024年3月21日(木)〜23日(土)に朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターにて開催される「第23回再生医療学会総会」にてポスター発表をいたします。


第23回日本再生医療学会 公式ページ


■発表概要

日時:2024年3月21日 16:20~17:10
演題番号:P-02-4
演題名:無血清培養系における細胞剥離剤由来タンパク質分解酵素の影響検討

日時:2024年3月22日 17:45~18:35
演題番号:P-18-5
演題名:間葉系幹細胞における複製老化の制御とその特性解析

日時:2024年3月23日 12:30~13:20
演題番号:P-34-5
演題名:間葉系間質細胞(MSC)が示すT細胞増殖抑制効果と細胞内代謝の関係性評価



■各演題要旨

「無血清培養系における細胞剥離剤由来タンパク質分解酵素の影響検討」

間葉系間質細胞(MSC)やiPSなどの増殖性細胞に由来する細胞製剤の製造において、感染性リスクなどの安全性リスクを改善することを目的に、無血清培地を用いた無血清培養系の研究開発が行われている。無血清培養系と血清を含む培養系の違いの一つとして、トリプシン阻害剤の有無が挙げられる。血清中にはトリプシンを阻害する因子が含まれており、これが拡大培養を行う際に使用される細胞剥離剤の反応を停止させている。一方で、無血清培地にはそのような反応を停止させる成分は基本的に含まれておらず、残留トリプシンの影響は酵素が失活する まで継続されると考えられる。そこで我々は無血清培養系における残留トリプシンあるいはトリプシン代替物の影響を調べることとした。その結果、残留物が増殖能に対して致命的な影響を与えている可能性があることを確認した。このことから、血清培地や血清代替 物を用いた培養系から無血清培養系に切り替えた際に、期待される培養性能を再現できない原因の一つとして残留トリ プシンに起因している可能性が高いと推察した。 残留トリプシンの影響が培養系に影響しないようにするためには、洗浄液による剥離剤洗浄回数の増加、トリプシン濃度の最適化、細胞保護剤の添加、そしてトリプシン阻害剤などの反応停止剤の検討などが考えられる。本研究では、それらの検討を行い、無血清培養系に適した細胞剥離剤の研究開発を行ったので報告する。

「間葉系幹細胞における複製老化の制御とその特性解析」

細胞製剤等の開発の際に、継代などの培養操作によって観察される細胞老化は複製老化と呼ばれる現象である。再生医療等製品を含む細胞を用いた製剤開発が盛んになったこともあり、その老化メカニズムや複製老化を制御する方法についても盛んに研究が行われている。 我々は様々な間葉系間質細胞(MSC)用の培地を開発しているが、その過程で、偶然にも複製老化を異常に促進してい る培地があることに気がついた。この培地で培養した細胞は、一般的な老化マーカーの上昇が認められた。そこで、この培地を用いて複製老化に関する検討を開始した。種々の老化抑制成分として報告されている因子や、当社の培地処方候補ライブラリーを用いてスクリーニングを行ったところ、Factor Xが複製老化を制御できる因子として見出された。最適な濃度のXによって、細胞の肥大化や増殖性能の低下、ROSの蓄積などの複製老化で見られる細胞変化を抑制できる可能性が示唆された。さらに、複製老化の進行した細胞と、Xによって複製老化の進行を抑えた細胞との間で、どのような違いがあるのか調査を行った。本研究発表ではこれらの、複製老化についての制御と老化細胞の特性について報告を行う。

「間葉系間質細胞(MSC)が示すT細胞増殖抑制効果と細胞内代謝の関係性評価」

MSCは免疫抑制効果を示すことから、自己免疫疾患や炎症性疾患などへの応用が検討されており、一部の疾患では実 際に臨床でも使用されている。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いたT細胞の増殖抑制試験はMSCの免疫抑制能を評価する方法の一つである。 当社では様々な間葉系間質細胞(MSC)用の培地を開発しており、免疫抑制効果の高い細胞を製造するための培地最適化についても研究している。まず、種々の培地でMSCを培養し、その細胞培養時の顕微鏡観察画像をクラスタリング解析した。それぞれ異なる特徴を示した16種のMSCについて、産生している液性因子をELISAによってプロファイリングしたところ、それぞれ異なる特性を有することが確認できた。それらの16種の細胞を用いてT細胞の増殖抑制試験および、各MSCの乳酸産生量およびミトコンドリア膜電位を評価した。最近の報告では、MSCのT細胞増殖抑制効果は、細胞内代謝経路(解糖系―酸化的リン酸化のバランス)との相関性が高いという報告がある。しかし、同一ドナーの細胞で、同一培養期間中に、培地のみの変更で評価した報告例は少ない。本研究ではそれらの条件を揃えるともに、16種もの異なる特性を示すMSCについて一度に評価することで、T細胞の増 殖抑制効果と細胞内代謝の間に相関性があるという仮説を検証した。
お問い合わせはこちら
info@solallisbio.com
PAGE TOP